肺自体は健康ですが、呼吸に異常が現れ始めます。
呼吸器の症状は深刻で、蘇生を要するような呼吸停止状態に陥ることもあります。
通常、私たちは呼吸によって空気を吸い込み、肺に酸素を送り込んで、二酸化炭素を排出するガス交換作業を行っています。(この作業を換気といいます)
肺に酸素がうまく取り込めずに低酸素状態に陥れば、息苦しさを感じます。
しかし、ROHHADの場合は、肺でのガス交換がうまくいかず、「低換気」と呼ばれる状態に陥ることがありますが、自覚症状がありません。
この状態は「高二酸化炭素血症」「低酸素血症」と同様に深刻な状態です。
低換気症状は、睡眠中に陥る傾向がありますが、深刻な場合には、覚醒中にも低換気が起こることがあります。
一方で、低換気症状が現れない場合もありますが、今後の経過を注意深く観察する必要があります。
対症療法
低換気の治療には、低換気の程度に応じて、以下のような対症療法があります。
カニューレによる酸素投与
BIPAP(マスクタイプ)装着による換気方法
気管切開をして常時人工呼吸器を装着する換気方法
早期段階でこれらの換気サポートを開始することが、非常に重要です
低換気状態では、体が非常に疲れやすくなり、眠気が強くなることがあります。
しかし、酸素投与やBIPAPなどの呼吸器を使用せずに眠らせることは非常に危険です。うとうと状態やお昼寝時にも最善の注意が必要です。
近年、人工的に横隔膜を動かす装置を体内に植込み、横隔膜に電気による刺激を行い呼吸補助を行う「横隔膜ペーシング」という新しい治療法があります。
しかし、国内ではROHHADに対するこの治療法の実例報告はなく、安全性が保障されていないため、ROHHAD患者に対しては実施されていません。