麻酔は、治療の際に痛みを和らげ、手術の際には意識あるいは感覚が失われるため痛みをなくし、手術による身体への負担から患者を守るものです。
しかし、ROHHAD症候群の患者に対して麻酔薬を使用する際には、特別な注意と配慮が必要です。
ROHHAD症候群患者は、睡眠中に低換気症状に陥る傾向があるため、麻酔薬を使用すると呼吸状態が悪くなり、麻酔投与後に急変する可能性があります。
世界中で多数の報告があり、呼吸数の減少、血液中の酸素量の減少、血液中の二酸化炭素量の増加、そして最終的には無呼吸になる例があります。
麻酔を使用することは可能ですが、安全に麻酔をかけるためには医師が課題を認識する必要があります。
検査や手術には、麻酔が必要不可欠ですが、ROHHAD患者にとっては、麻酔による心肺停止という二重の恐怖との戦いとなってしまいます。
そのため、ROHHAD症候群患者は、麻酔による悪影響が及ぶ可能性があることを必ず医師に伝えておく必要があります。
医師がROHHAD症候群の患者であることを把握することで、麻酔薬の投与量や種類などを適切に調整することができ、患者の呼吸状態を確認しながら手術や治療を行うことができます。
ROHHAD症候群患者にとって、安全に麻酔を投与し、安全な手術や治療を受けるためには、医師がROHHAD症候群患者であることを知っていることが重要であり、不可欠です。
2018年にスペインのマドリードにあるCajal Universityの臨床チームは、「小児の麻酔。ROHHAD症候群の患者」という論文を発表しており、ROHHAD症候群の患者に対する麻酔管理について詳しく説明しています